2014年5月15日木曜日

ルネサス、トヨタ流で工場復活なるか  大部屋活動をアレンジ

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140513/264495/?n_cid=nbpnbo_mlp




 経営再建中の半導体大手、ルネサスエレクトロニクス。昨年6月にオムロン出身の作田久男氏が代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就任して新たな経営体制が発足して以降、拠点の統廃合や事業売却、早期退職の実施など、ありとあらゆる構造改革を加速させている。
 中でも製造拠点の統廃合については、5インチのシリコンウエハーを用いる高崎工場(群馬県)を閉鎖したほか、3月末には12インチのシリコンウエハーを用いる鶴岡工場(山形県)をソニーに譲渡した。残された製造拠点も再編が進められ、4月1日付で製造子会社を設立している。
 ネガティブな話題が多いルネサスだが、工場の競争力を取り戻すためにある活動を進めている。舞台は自動車向けマイコンの主力工場である那珂工場(茨城県)。5階にある会議室で、毎朝9時から30分間ほど開かれる「大部屋」活動だ。
那珂工場で毎朝実施される「大部屋」活動の様子

壁を見るだけでプロジェクトを把握

 舞台となる会議室には、壁一面に進行中のプロジェクトの工程表が貼られている。ここに工場長から各工程の責任者まで総勢70~80人が一堂に集結し、壁に貼られた工程表を前にプロジェクトの進捗状況を話し合う。
 装置トラブルなどの課題を抱えている工程には内容を手書きした付箋を貼っていく。解決策や対応者も時間内に決定する。数日後、課題が解決した際には、付箋上に「よくできました」と書かれたシールを貼っていく。
 「ここに貼られている『紙』を見るだけで、プロジェクトの課題をすべて把握できる」。製造子会社であるルネサスセミコンダクタマニュファクチャリングの宮本佳幸社長は、大部屋活動の利点をこう語る。

半導体の工場は一般的に工程ごとの縄張り意識が強く、他部門の課題に無関心なことが多い。ルネサスも例外ではなかった。結果として情報共有が進まず、品質や納期の問題が起きやすかった。大部屋活動の導入で、部門の壁を越えてアイデアが飛び交うようになった。
 実は、那珂工場で大部屋活動が始まったのは3年前の東日本大震災直後だ。地震によって那珂工場の内部は激しく損傷。支援すべく駆けつけた、トヨタ自動車の林南八技監の提案がきっかけで導入された。
 自動車メーカーや建設業者など支援に駆け付けた人数は、最大で1日2500人に達した。これほどの大人数が復旧作業の作業状況を共有するには大部屋活動による見える化が最適だった。那珂工場が当初計画の半分となる3カ月での復旧を実現できた裏には、トヨタ流のノウハウがあったわけだ。

プロジェクト管理に導入

 自動車業界では、工場トラブルのような有事の際には大部屋活動を実施するのは常識だという。あくまでも有事に限定した取り組みだったが、ルネサスは震災以降も大部屋活動を継続している。さらに、那珂工場以外での製造拠点でも同様の取り組みを広げている。
 ルネサスが進めるのは、年間を通して進める工場全体でのプロジェクト管理だ。2011年は「品質向上」、2012年は「コスト削減」をテーマに冒頭のような大部屋活動が実施された。大部屋活動を日々の業務にアレンジしたことは、視察に訪れた自動車メーカーから褒められることもあるそうだ。
 現在、那珂工場で取り組む大部屋活動は、3月末にソニーに売却した鶴岡工場で手掛けていた自動車用マイコンの製造プロセス移管だ。製造技術の世代別に、大きく3つのプロセスの移管が進められている。
工程表には付箋が貼られていく(写真:北山宏一)
 那珂工場は旧ルネサステクノロジ、鶴岡工場は旧NECエレクトロニクスが作り上げた製造工場であるため移管は簡単ではない。シリコンウエハーに金属薄膜を積層していく各プロセスの名称もすべて異なるため、大部屋には両社が採用していた製造プロセスの名称を併記した計画表を壁一面に貼ることで、議論がスムーズに進められるような工夫を施した。
 既に、配線の加工寸法が最も大きい世代の製造プロセスは移管がほぼ完了した。大部屋活動によって、「これまでに比べて3分の1程度の期間で達成できた」と宮本社長は話す。

ルネサスが5月9日に発表した2014年3月期の決算では、営業利益が676億円となり3期ぶりの営業黒字を達成。純損益は53億円の赤字だったものの、前期比で1623億円改善した。那珂工場で進める大部屋活動も少なからず貢献したようだ。
 とはいえ、ルネサスの経営再建にメドが立ったわけではない。作田会長は決算会見で「2013年は生産拠点の統廃合は進んだが、構造改革の進捗は4合目だ」と慎重姿勢を崩さない。
 ルネサスは2014年、設計や開発機能の統合と拠点の統廃合を進めていく考えだ。これらの構造改革が達成されれば、「2014年度を過ぎれば(進捗は)6~7合目になる」(作田会長)見通しだ。
 設計部門の構造改革について作田会長は、「出身母体が違う中でどのように統合していくかがポイントになる」と話す。
 外部からもたらされた大部屋活動によって、融合をスピーディーに実現したルネサス。製造と設計の違いがあるため、そのままでは難しいかもしれないが、大部屋活動で培ったノウハウを生かすことができれば構造改革の進捗が高まるかもしれない。

値付けで分かれた牛丼「御三家」、初陣の意外な勝者

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140513/264497/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt


第2幕の焦点は吉野家が仕掛ける“夏の鍋”の売れ行き?

 

3社揃って前年同月割れ──。4月の消費増税に合わせて、値上げと値下げとに分かれて注目を集めた牛丼チェーン3社の価格戦略。今月7日に出揃った4月の実績は、3社とも前年同月の実績を下回った。
 消費税率が引き上げられる前、3社の牛丼並盛りの価格は280円で横並びだった。それを吉野家ホールディングスの「吉野家」は20円値上げして300円とし、松屋フーズの「松屋」も10円引き上げた。一方、最大手のゼンショーホールディングスが展開する「すき家」は10円の値下げを断行し、客数の確保を狙った。
4月から牛丼を値上げした吉野家。4月半ばからは、熟成期間を延長した牛肉を使った新牛丼の展開を開始。3月の発表会では、吉野家の安部修仁社長が品質アップの意気込みを語った

数字上は吉野家の下げ幅が大きいが…

 4月の実績を詳しく見ていくと、吉野家の既存店売上高(速報)は、前年同月比で3.3%の減少。客単価は上昇したが、既存店客数が同9.2%減ったことが響いた。昨年4月以降、同年9月を除いて既存店売上高で前年同月の実績を上回っていたものの、ここに来て業績拡大にブレーキがかかった形だ。
 すき家は、既存店売上高が同1.4%減、既存店客数も同4.8%減った。松屋も既存店売上高が同0.2%減、既存店客数は同4.4%減となり、数字上は吉野家の下げ幅が大きく見える。
 ただ、吉野家の大きな下げは、価格の値上げに伴う客離れというよりは、前年同月の客数増の反動によるところが大きい。同社は昨年4月18日、牛丼の定価を最大100円値下げする新価格を導入。客数が大きく伸び、昨年4月は2012年比で13.6%のプラス(既存店)に達していたからだ。
 実際、今年の4月1日から4月17日までの期間で集計すると、客数、売り上げともに前年同期比2桁増と好調を維持。また4月全体でも、2年前(2012年)の同月と比べると、今年は売り上げ、客数、客単価がいずれも増加している。復調傾向は継続していると考えられる。
 “牛丼御三家”の中で唯一、「お得感を出して集客力を高める」(ゼンショーホールディングス)と値下げを断行したすき家も、先に記したように客数を伸ばすことはできなかった。同社は昨年4月に牛丼価格を30円値引きするキャンペーンを投入しており、「反動が出た」(ゼンショー)としているが、「もう少し客数を伸ばしたかった」(同社)というのが正直なところだろう。

 

吉野家に比べて並盛りで30円も安いが、客数の拡大効果は限定的といえる。松屋もゼンショーと同じく、前年同月比割れは「昨年の大規模なキャンペーンの反動」(松屋フーズ)と分析する。ただこの2社は、前年同月だけでなく2年前の同月と比べても既存店売上高と客数が減少。特に松屋の下げ幅は大きく、集客力の底上げが急務だ。
 昨年4月に各社は値下げや割引キャンペーンを展開したため、今回の既存店の売り上げ実績から増税における価格改定の影響は実は読み解きにくい。ただし、値下げしたすき家が必ずしも好調でないことを考えると、牛丼の価格差が従来ほど客足に影響していない可能性は高い。そうなると、商品力が今まで以上に勝負を左右することになりそうだ。

吉野家は、ポスト「鍋」に注力

 昨年12月に吉野家が投入したことで火が付いた牛すき鍋膳などの「鍋」メニュー。高価格帯ながら多くの消費者に受け入れられて同社の好調の一翼を担ってきたが、気温の上昇に合わせて勢いを失いつつある。夏場に向けて次のヒットを生み出せるかが重要だろう。
 吉野家が狙うのが、鍋と同じ機材を使う“焼き”だ。
 吉野家は4月以降も好調につき鍋メニューの展開を継続。加えて、全国数店舗で鍋で肉と野菜を炒めた新商品「牛バラ野菜焼定食」をテストしており、季節に合わせた“鍋メニュー”を模索している。「商品内容やオペレーションを含めて試作を繰り返しており、本格導入は未定」(吉野家)というが、鍋需要が落ち込むこれからの季節の新たな目玉として展開できれば、他社との差別化が見込める。
吉野家が数店舗で試験提供中の「牛バラ野菜焼定食」。昨年12月に投入した「牛すき鍋膳」などと同じ、固形燃料に火を付けた状態で提供される
 一方、すき家では4月に入って鍋商品の提供を一時終売。同社では労働環境の悪化などによって人材確保が困難になり、その一因として仕込みに手間のかかる鍋メニューの導入を上げている。セントラルキッチンなどを組み合わせて現場でのオペレーションを簡略化できるかどうか検討しているものの、鍋商材の再展開や新商品の投入は一筋縄ではいかなそうだ。

店内設備の効率改善に向けたリニューアルを進めてはいる。しかし、工事作業員の人手不足やアルバイトの採用難により、一時閉店がいまだ続く店舗も多い。6月には全国に7つの運営会社を置く「地域分社化」への移行も予定しており、今は「足場固めの時期」と同社は語る。
すき家は、人手不足によって一部店舗の時間帯休業などの措置を取っているほか、全国167店舗で営業を一時休止してリニューアル工事を実施している
 松屋も一部店舗で限定導入をしていた鍋系商品の展開を既に終了。「山形だし牛めし」「味噌漬け牛カルビ定食」「筍牛めし」など、多数の新商品を投入してはいるが、鍋系商品に関しては、「機材の確保やオペレーションの統一が難しかった。次の冬に向けて再度導入を検討している」と消極的だ。

増税ショックの見極めは時期尚早

 野村証券グローバル・リサーチ本部の繁村京一郎エグゼクティブ・ディレクターは「5月以降の数字で各社の戦略に対する消費者の本当の評価が見えてくる」と語る。今後の業績にますます注目が集まる。
 ただ、「鍋」の投入や牛丼の品質向上など、昨年から今年4月にかけての牛丼市場のトレンドは吉野家が主導して作ってきたと言える。同社は値上げによる大きな客離れも起こっておらず、増税ショックをひとまずは無難に乗り切ったと言えそうだ。
 「増税後の可処分所得の低下によって、外食への支出を減らす動きが今後顕在化する可能性がある」(大手外食チェーン幹部)という慎重な声も多く聞かれる中、復活基調を維持できるかどうか。鍋効果が切れる前に、「夏の鍋」でヒットを出せるかが大きなカギになりそうだ。

ついに科学は「じゃんけんで連勝できる方法」を解明した

http://wired.jp/2014/05/07/win-at-rock-paper-scissors/



中国の科学者らが、300人の学生に何度もじゃんけんをさせて彼らがどのような手を選ぶかを観察し、最も勝てる可能性の高い戦略を見つけ出した。

TEXT BY CASEY JOHNSTON
PHOTO BY DAN SUMPTION
TRANSLATION BY TAKU SATO/GALILEO

ARS TECHNICA (US)
中国にある浙江大学の研究グループが、じゃんけんで勝つ(または負ける)ときにプレイヤーの心理状態が果たす役割について研究した論文(PDF)を発表した。
じゃんけんを繰り返し行う際、どのような場合に自分の戦略を続けたり変更したりするかを調べたところ、プレーヤーたちはある基本ルールに従って行動する傾向にあることがわかった。このルールを知っておけば、じゃんけんをするときにうまく利用できるかもしれない。
研究チームは360人の学生を6つのグループに分け、ランダムな組み合わせで300回じゃんけんをしてもらった。学生たちには、じゃんけんに勝つたびに少額の報酬を与えた。そして、彼らがじゃんけんをしている間、研究チームは彼らが勝つか負けるかに従って3種類の手(グー・チョキ・パー)の順番をどのように決めるのかを観察した。
研究チームによれば、「あるプレーヤーが1回目のじゃんけんで相手に勝った場合、2回目のじゃんけんで同じ手を繰り返す可能性は、手を替える可能性よりもはるかに高い」という。一方、あるプレイヤーが2回以上負けた場合、そのプレイヤーは手を替える可能性が高い。しかも、相手が自分を負かしたときに出した手ではなく、前回相手に勝てたはずの手に替える可能性の方が高いという。
例えば、ある人がチョキを出してグーの相手に負けたとすると、その人は、グーに勝てるパーに替える可能性が高い。研究によれば、これはまっとうな戦略だという。なぜなら、相手は勝っている限り同じ手を使う可能性が高いからだ。論文の著者らは、これを「win-stay, lose-shift」(勝てばキープ、負ければスイッチ)戦略と呼んでいる。
したがって、じゃんけんで連戦する際のベストな戦略はこうなる。1回目のじゃんけんで負けた場合には、相手が直前に出した手に勝てる手に切り替える。逆に、勝った場合には、同じ手を繰り返すのではなく、自分が先ほど出した手に負ける手に替えるのだ。つまり、あなたに負けた相手が直前に出した手を出せばいい。
例えば、1回目で自分がグーを出し、チョキを出した相手に勝ったとすると、2回目のじゃんけんで相手はパーを出す可能性が高い。したがって、あなたはチョキを出せばいいのだ。おわかりいただけるだろうか。この戦略は、相手がこの記事を読んでいない限り、うまくいくことだろう。

2014年5月8日木曜日

Yahoo!ショッピング、ストア数が7万8千店に ー 楽天市場の店舗数の倍に


http://shopping-tribe.com/news/6483/



ソフトバンクは5月7日、2014年3月期 決算説明会を行い、初めて1兆円を上回る過去最高の業績になったことなどを発表した。
説明会の中では、Yahoo!ショッピングの店舗数に関しても触れられ、審査完了後の出店準備中の店舗も含めた数字で、個人と法人を含む店舗数が7万8千店になったことを明らかにした。
yahoo-shopping78説明会の中で孫社長は、eコマース事業をヤフーの新たな成長ドライバーとしていきたいとし、eコマースの活性化の鍵は「品揃え」と「価格」の2つが重要であると語った。

「品揃えを充実させるには、多種多様な店舗を揃え、店舗数で一番になることが大切だ」とし、価格に関しては「手数料を実質ゼロにしたことで、店舗は収益が稼ぎやすくなるため、その分消費者に還元されることになる」とした。
「したがって、我々のプラットフォームは、より品揃えが揃って、より価格が安くなる」とまとめた。

また、現在のYahoo!ショッピングの取り組みは、アリババが中国で成功させているビジネスモデルと実質的には同じだと語った。

説明会の様子はソフトバンクのサイトで動画配信している。(ヤフー関連は25分頃から)


2014年3月期 決算説明会 オンデマンド配信
http://webcast.softbank.co.jp/ja/results/20140507/

この記事を書いた人

イイヅカ アキラ
イイヅカ アキラ編集長Twitter:@aixca
Shopping Tribe編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーに。現在はメディア運営を中心に活動中。
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日本ブランド戦略研、企業の環境サイト調査で1位はサントリー、2位キヤノン、3位日立

http://web-tan.forum.impressrd.jp/n/2014/05/07/17445




この記事を読むのにかかる時間: 約 1 分
ブランドやウェブサイトに関する調査・コンサルティングを手掛ける日本ブランド戦略研究所は、企業の環境サイトの整備状況について調べた結果を5月2日発表した。1位はサントリーで、2位はキヤノン、3位は日立製作所だった。調査は2月時点の219社の環境サイト対象にした。事前に設定したチェックリストに基づいて基本情報、サポート、ブランディングの3つの情報カテゴリで情報量や掲載方法などが十分かどうか調べ、ネット視聴率測定システムによる閲覧者数を加味した。
トップとなったサントリーは、「サントリーの愛鳥活動」や「サントリーの水育」など環境ブランディングのコンテンツが充実し、幅広い層に支持されている。2位のキヤノンは一般消費者向けに多くのコンテンツを用意し、3位の日立製作所は写真やイラストを多用した構成で、アクセスが多い。上位企業は、環境方針や環境データなど環境報告書に基づく情報の網羅性があり、問い合わせやサイトマップで閲覧の利便性を高めているうえ、コラムなどによる分かりやすい編集が特徴。
Eco Site Survey 2014の20位までの企業は次の通り。
(1)日立製作所(2)キヤノン(3)日立製作所(4)東京ガス(5)三菱電機(6)富士通(7)ダイキン工業(8)ブラザー工業(9)パナソニック(10)トヨタ自動車(11)リコー(12)大阪ガス(13)東芝(14)ソニー(15)TOTO(16)シャープ、パイオニア(18)キリン(19)積水ハウス、住友林業
日本ブランド戦略研究所
http://japanbrand.jp/

米情報機関NSAが謎すぎるツイート、解読スキルを腕試し

http://news.ameba.jp/20140508-262/




米情報機関NSAが謎すぎるツイート、解読スキルを腕試し
米情報機関NSAが謎すぎるツイート、解読スキルを腕試し 米情報機関の国家安全保障局(NSA)が5月5日、TwitterのNSA公式アカウントに“意味不明”な文字列を投稿し、これが一体何なのか話題になったとCNNが伝えている。

CNNの記事によると、謎の文字列は「tpfccdlfdtte pcaccplircdt dklpcfrp?」と意味不明の文字列で構成されていたことから、NSA酔っぱらい説や猫がキーボード上を走った説、うっかり機密情報を漏らした説などが飛び交ったという。暗号解読ソフトを使ってこの謎は解明され、NSAが暗号解読のスキルをもつ職員を採用するために投稿したことが明らかとなった。先の投稿は「NSAの仕事に興味がありますか?5月の毎週月曜日、我が国を守るために欠かせないキャリアについて紹介します」という内容だった。今後も5月の毎週月曜は、暗号ツイートを投稿する予定だいう。


NSAのツイート

CNNの記事
URL:http://www.cnn.co.jp/career/35047565.html
2014/05/08

2014年4月28日月曜日

格安スマホ、家電量販も ビックカメラやヨドバシ


http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ170FM_X10C14A4MM8000/


家電量販大手のビックカメラは格安のスマートフォン(スマホ)販売に参入する。端末代込みの利用料は大手携帯電話会社の半額以下の月2830円(税別)で、18日から店頭販売を始める。4日から月2980円のスマホを売り始めたイオンよりも安くする。5月にはヨドバシカメラも販売に乗り出す方針。大手小売店の相次ぐ参入で格安スマホは本格的な普及期に入りそうだ。
 格安スマホはNTTドコモなど大手携帯電話会社から事業者が回線を借りて独自にサービス提供する。限られた回線を多くの利用者で分け合うためデータ速度は遅い。その分、高価な通信設備を自前で持たないので料金を安く抑えられる。イオンの格安スマホは当面の販売目標の8千台が月内にも売り切れる見通し。
 イオンを追うビックカメラはスマホとタブレット(多機能携帯端末)計3種類を計1千台販売する。ビックカメラ35店と傘下のコジマの一部店舗で扱う。通信サービスはインターネットイニシアティブ(IIJ)がドコモの回線を借りてビックカメラの客に提供する。
 中堅通信機器メーカーのコヴィア(横浜市)のスマホと毎月1ギガ(ギガは10億)バイト分のデータ通信が使える。月1ギガはスマホ利用者の平均的なデータ通信量とされる。通話料は30秒で20円とドコモと同じにした。MNP(番号持ち運び制度)にも対応し他社からの乗り換えを狙う。途中で解約しても端末代の未払い分だけ払えば済む。
 ヨドバシも日本通信の通信サービスを使った格安スマホを5月にも売り出す。端末込みの料金は月3千円前後で検討している。
 総務省はスマホ市場の裾野を広げるため、ドコモなどが回線を貸し出す際の接続料を引き下げるよう促す。中国メーカーなどは1台1万円程度の低価格スマホを相次ぎ開発しており、スマホサービスの低料金化に一段と拍車がかかりそうだ。

オリエンタルランド、営業益最高1100億円 14年3月期 東京ディズニーリゾート 入園3000万人超

http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXNASGD2103I_21042014MM8000



レジャー消費の好調を背景に、東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドの業績が拡大している。2014年3月期の連結営業利益は前の期より35%増の1100億円強とこれまでの見通し(1066億円)を上回り、過去最高になった。開業30周年のイベント効果や、円安による訪日外国人の増加を背景に入園者数が大きく伸びた。
 売上高も従来の見込みを約100億円上回り、19%増の約4700億円と過去最高を更新したもよう。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを合わせたTDRの入園者数は14%増の3129万人と、初めて3000万人の節目を超えた。
 TDRでは、昼間のパレード一新やアトラクション改装など集客のためのメニューを相次いで投入。その効果が表れて、首都圏だけでなく地方からも客足が伸びた。円安を追い風に、所得水準の向上が続く東南アジアなどからの来園者も増えた。食事や記念グッズの購入など1人が園内で使うお金も増え、客単価も過去最高になったもよう。2月の大雪など悪天候の影響を吸収し、想定を上回る利益を確保した。
 4月以降、客足に目立った落ち込みはみられず、消費増税による料金引き上げの影響はそれほど出ていない。ただ、会社側では30周年効果の反動で15年3月期の利益は減るとみているようだ。

東京ディズニーリゾート、3年で1200億円投資

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO70489110X20C14A4TJC000/



東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)を運営するオリエンタルランドは、2014年度から設備投資を大幅に増やす。16年度までの3年間に11~13年度実績を6割上回る1200億円規模を計画、TDR内の2つのテーマパークのアトラクションの入れ替えなどに充てる考え。13年度に初めて入場者数が3千万人を超えており、テーマパークの混雑緩和や集客力の向上を急ぐ。
昨年度、入場者が初めて3000万人を突破した(千葉県浦安市の東京ディズニーランド)
昨年度、入場者が初めて3000万人を突破した(千葉県浦安市の東京ディズニーランド)
 28日に決める新中期経営計画に盛り込む。14年度は13年度実績の240億円を8割上回る420億円、15、16年度も400億円台の投資を続ける。14、15年度は東京ディズニーランドを中心にアトラクションやサービス施設を拡充する方針だ。東京ディズニーシーも16年度以降に施設の更新・改良に取り組む。
 TDRは13年度に開業30周年記念の大型パレードや3Dアトラクションの刷新が人気を呼び、初めて入場者数が3千万人を突破した。14年度は1割程度の反動減を見込むも、15年度の回復を予測。年間3千万人を恒常的に受け入れられる施設の整備を目指す。
 アジアを中心とする訪日外国人客の増加や20年の東京五輪開催も追い風になるとみて、17年度以降も積極投資を維持する方針だ。

XP搭載ATMは安全か 国内にまだ17万台

http://www.nikkei.com/article/DGXZZO70396590V20C14A4000000/



 米マイクロソフト(MS)が今月、サポートを終了した基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」。サイバー攻撃に対する弱さから企業や自治体が新しいOSを搭載したパソコン(PC)への置き換えを急ぐ中、2019年ごろまで身近な所に残りそうなXP搭載機器がある。金融機関のATMだ。いまなお国内で稼働するATMの9割でXPが使われている。インターネットと直接つながっていないATMがサイバー攻撃に遭う可能性は小さいとされるが、海外では被害も報告されており、安全とばかりは言い切れない。
■多くはPC用のXPを搭載しているが……
全国にATMは約19万台あるが、そのうちXPを搭載するのは17万台とされる
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全国にATMは約19万台あるが、そのうちXPを搭載するのは17万台とされる
 XPには「PC用」と産業機械などで使われる「組み込み系」の2種類あり、MSがサポートを終了したのはPC用。組み込み系のXPのサポート終了は16年1月の予定で、まだ猶予がある。だがATMの多くは、サポートが終了したPC用が使われている。ATM全体をXPで制御している機種や、独自のOSを使いながら機能の一部をXPが受け持つ機種など、使われ方は様々だ。
 ATMの設置台数は国内で約19万台とされる。金融情報システムセンターによると、国内の銀行の支店などで使われているATMは13万7030台(12年3月時点)。これとは別に、全国で約5万店あるコンビニエンスストアの多くにもATMが設置されている。
 関係者の話を総合するとこのうちXPを積んでいるATMは約17万台にのぼり、全体の9割を占める。ATMの主要メーカーはOKI、日立オムロンターミナルソリューションズ、富士通フロンテックで、ほぼ国内市場を3分している。
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 金融機関やメーカー各社はこうしたXP搭載ATMが、サポート切れで直ちに危険になるとは見ていない。過去に一定のセキュリティー対策を取り入れているほか、いずれも銀行とATMのみをつなぐ「閉塞ネットワーク」で口座情報などをやりとりしており、インターネットとは隔絶されているためだ。「外部から侵入したり情報を盗んだりすることはできない」(ATMメーカー)と見ている。
 金融機関は新札導入を機に04年ごろ、一斉にATMを更新。この際にXPを使った機種が広まった。ATM各社は11年ごろから使用するOSを「ウィンドウズ7」などに切り替えているが、XP搭載のATMが完全に引退するのは19年ごろになる見通しだ。XP搭載機器は、ATMのほかPOS(販売時点情報管理)レジや自動販売機も引き続き使われている。

■メキシコではウイルスで現金引き出し事件も
 海外ではXP搭載のATMがウイルスに感染して、現金が引き出される事件が発生している。米セキュリティー会社のシマンテックが昨年9月にウイルスを特定した。
 メキシコで発生した犯行の手口はこうだ。ATM内部の保守基板のUSBポートに携帯電話をつないで、ウイルスを送信する。あとは別の携帯電話からATM内部に隠した携帯電話に指令を出し、ATMを乗っ取った。USB接続機器を自動実行する、XPの初期設定を悪用したと見られている。
 日本でもATM保守担当者が加担するなどして、同様の事件が起こる可能性は排除できない。銀行の情報システムを巡っては、管理や保守を受託する企業の社員らがキャッシュカードを偽造する事件も起きており、「身内」だから不正が起きないという前提には立てない。OSに脆弱性があれば、そこが狙われる可能性は残る。
 シマンテックの日本法人(東京・港)の林薫主任研究員は「一刻も早くXPから7や8に移行すべきだ」と注意喚起している。
(浅山亮)

ソフトバンク傘下の米携帯、音楽配信で提携

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2503D_V20C14A4000000/



 「音楽は愛の糧」が本当なら、世界中の携帯電話網は愛の糧に満ちてめまいがしているに違いない。
 欧州、アジア、中南米では、顧客をつなぎとめ、競合他社との差別化を図るために、通信会社が携帯加入契約に音楽ストリーミングサービスをバンドルしている。だが、米国の携帯ネットワークはこれまで、音楽の魅力に抗ってきた。
ソフトバンクの孫正義社長。同社は2013年7月に米スプリントを買収している(2月12日)=ロイター
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ソフトバンクの孫正義社長。同社は2013年7月に米スプリントを買収している(2月12日)=ロイター
 4月末に発表予定の提携で、その状況も変わるかもしれない。スポティファイがソフトバンク傘下の米国携帯電話会社スプリントとのタイアップを発表すると見られているのだ。
 両社とも、最初にウェブサイト「リコード」で報じられた提携について事実を追認していないが、この提携案件に詳しい筋によれば、スポティファイのストリーミングサービスはバンドルとしてスプリントの携帯加入者に提供されるという。
■スポティファイの知名度高める
 双方とも利益を得る立場にある。スプリントとしては、市場をリードするストリーミングサービスのスポティファイとの関係から、かっこいいものが好きな若者たちの称賛を得られるし、顧客が大規模な音楽ライブラリーへのアクセスを高く評価すると仮定すると、顧客離れを減らす貴重な道具になる。
 一方、スポティファイは、数百万人に上るスプリントの顧客と直接的なつながりを得られる。だが、潜在的にそれより重要な恩恵は、通信会社との提携から得られるマーケティング支援だ。音楽ストリーミングサービスは、売上高のかなり大きな割合を楽曲ライセンスのために音楽会社に支払う。「音楽会社がひとたび(金銭的な)ギャランティーを取ったら、音楽サービスの手元にはマーケティングに使うお金が大して残らない」。音楽業界をウォッチするミディア・コンサルティングのマーク・マリガン氏はこう話す。
 スプリントは莫大なマーケティング予算を持っており、米国におけるスポティファイの知名度を高めるだろう。スポティファイが新規株式公開(IPO)を模索していることを考えると、タイミングもいい(昨年資金調達を行った際は、スポティファイの企業価値は40億ドルと評価されていた)。

■ビーツにアプローチした孫社長
 米国内のスポティファイの主なライバルの間で、同じくらい大規模な通信大手との提携を行ったのはビーツ・ミュージックだけだ。伝説的な音楽プロデューサーのジミー・アイオビン氏とヒップホップ界の大物ドクター・ドレーが手がけ、レン・ブラバトニク氏やジェームズ・パッカー氏といった大富豪が出資するビーツは、今年1月にAT&Tと提携してサービスを開始した。
音楽の定額配信サービス、スポティファイがスプリントと提携するとみられる=ロイター
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音楽の定額配信サービス、スポティファイがスプリントと提携するとみられる=ロイター
 消息筋によると、ビーツは昨年、ソフトバンクの孫正義氏に一時提携話を持ちかけられたという。孫氏はスプリントとのタイアップの見返りにビーツに10億ドル出すと言ったが、孫氏が求めていた独占契約のレベルを巡り、提案は拒絶された。
 米国では、ストリーミングサービスと携帯電話会社のパートナーシップは珍しいかもしれないが、携帯電話市場が細分化している欧州では古くから存在する。また、欧州では音楽ストリーミングが米国より成熟している。例えばスウェーデンでは、音楽売り上げ全体の70%近くをストリーミングサービスから得ている(米国では約20%)。
 スポティファイはドイツではドイツテレコムと、オランダではKPNと提携関係にある。競合サービスのラプソディーや、オレンジが出資するフランスのデジタル音楽サービスのディーザーも通信会社と提携している。
 国際的には、最も積極的に動いてきたストリーミング会社の1社がディーザーで、同社は欧州、中南米、アフリカ、アジア各国で25社の通信会社とバンドル契約を結んだ。だが、米国ではまだサービスを開始していない。米国の携帯電話会社、もしかしたらTモバイルとのパートナーシップがディーザーの米国進出の最善策になるのではないか?
■サブスクリプション型サービスに高まる期待
 前出のマリガン氏によれば、音楽サービスを携帯加入契約とバンドルすることは、デジタル音楽にとって「第3の道」だという。というのは、無料の広告支援型ストリーミングサービスを聴く人と、ハイテクに精通し、サブスクリプション型(月額など定期的に決まった料金を支払う)音楽サービスを使う新し物好きの人たちとのギャップを埋めることができるからだ。

音楽売り上げが落ち込んでいる今(国際レコード産業連盟=IFPI=によると、2013年には4%減少した)、サブスクリプション型音楽サービスは暗がりの中の明るいスポットだ。デジタルダウンロード販売は2%減少したが、音楽サブスクリプションからの売り上げは50%増加して11億ドルに達した。
 サブスクリプション型サービスが、より多くの視聴者にアピールするためには、通信会社のマーケティング力が必要になる。だが、携帯電話会社がどれほどこの場にとどまる気かは不透明だ。「通信会社は概して、本格的な関係よりも一夜限りの関係に興味があった」。マリガン氏はこう言い、通信会社がバンドルされた音楽サービスの売り込みへの熱意を失い、別のタイプのコンテンツとマーケティングに焦点を移した事例を引き合いに出す。
 目前に迫ったスポティファイとスプリントの契約はまだインクも乾いておらず、ビーツ・ミュージックとAT&Tとの提携は、始まってからまだ数カ月しかたっていない。それでも音楽業界には、こうした結婚が長続きすることを期待する理由がたくさんある。
By Matthew Garrahan, the FT’s global media editor
(2014年4月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
(翻訳協力 JBpress)
(c) The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


2014年4月18日金曜日

「EC市場」徹底研究(後編) 楽天・アマゾン・ヤフー・ZOZOTOWN・LINEモール、勝ち残るのは誰か?

http://bizacademy.nikkei.co.jp/management/mbaessence_platform-biz/article.aspx?id=MMAC2g000009042014



「EC市場」徹底研究(後編) 楽天・アマゾン・ヤフー・ZOZOTOWN・LINEモール、勝ち残るのは誰か?


根来 龍之(ねごろ・たつゆき)
早稲田大学ビジネススクール教授




ヤフーショッピングが狙うのは個人店舗の出店
 前回はプラットフォームビジネスとは何かについて解説しました。そして、電子商取引(EC)サイトのビジネスモデル、中でもヤフーショッピング(Yahoo!ショッピング)がなぜ無料化に踏み切ったのか、その背景について説明しました。今回は、楽天やアマゾン、ZOZOTOWNなども含めた、ECサイトの動向についてさらに詳しく見ていくことにします。
 各ECサイトのポジショニングはどうなっているのでしょうか。横軸に「有料」「無料」、縦軸に「法人」「個人」として、各サイトをプロットしたのが図1です。これを見ると、ヤフーショッピングの無料化は、「法人」が「有料」で出店する位置づけから、「法人」「個人」を問わず「無料」で出店するというベクトルにシフトしたと見ることができます。同社は個人あるいは個人に近い店に出店してほしいと考えているわけです。
図1「有料」と「無料」を横軸にプロットした各ECサイトのポジショニング図1「有料」と「無料」を横軸にプロットした各ECサイトのポジショニング


ヤフーショッピングとヤフオク!の違い
 ヤフーショッピングが狙っている個人には、一体何を売るのでしょうか。主には(1)中古商品、(2)ハンドメイド商品、(3)「自分ブランド」のアパレル、の3つだと考えられます。
 「自分ブランド」というのはセレクトショップや文字通り自分がデザインしたブランドという意味です。つまり個人のお店を新たに取り込もうとしているわけです。例えば、ハンドメイド商品は大量生産ができず、多くの売り上げをあげることはできないですが、一部のコアユーザーが付く可能性があります。
 ではヤフー内では、ヤフーショッピングとヤフオク!(ヤフーオークション)の違いをどのように考えているのでしょうか。
 無料化されたヤフーショッピングは、価格を表示して販売しますが、ヤフオク!はオークションサイトなので、価格が入札によって上がっていくシステムになります。パソコンなどの工業製品の中古品はオークションによって市場価格が形成されますが、アクセサリー類といったハンドメイド商品はオークションによっては市場価格が形成されにくいため、リストプライスの方が向いています。
 また、セレクトショップは目利き力で売っているため、店に対する信頼が必要になります。店のブランドを作りたい人は、自分で店が作れるヤフーショッピングの方が合っているといえるわけです。ヤフオク!はオークションサイトという特徴と、品物ごとに売るという性質があるので、ショップブランドを形成することができないからです。このような形で、ヤフーショッピングとの差別化を図っていくと見られています。

特化型ECが勢力を拡大へ
 ECサイトのポジショニングを今度は、横軸に「総合型」「特化型」、縦軸に「法人」「個人」とした場合は、どうでしょうか(図2)。横軸をこうした場合は、さきほどの3強以外のECサイトも重要なプレイヤーになって来ていることがわかります。特に注目するべきなのは、ファッションブランドを集めた「ZOZOTOWN」で、法人の特化型にプロットされます。一方、楽天やアマゾンは法人の総合型にプロットされます。
(図2)「総合型」と「特化型」を横軸にプロットした各ECサイトのポジショニング(図2)「総合型」と「特化型」を横軸にプロットした各ECサイトのポジショニング
 このほかにも、最短2分でサイトが作れることをうたった「STORES.jp」、スマートフォンに特化した「LINEモール」などがあります。
 今後はECも、スマートフォンで販売することに主眼が置かれるようになると考えられます。そうなるとヤフーショッピングもヤフオク!もライバルは誰なのかと言えば、実は楽天やアマゾンではなく、LINEモールやSTORES.jpといった無料のサイトになると思われます。
 「個人」のお店のエリアが実は未開拓領域だと考えられていて、ヤフオク!やヤフーショッピングの棲み分けが変わってくると見られます。ZOZOTOWNが出資するStores.jpは資金力も豊富でアパレルに今後特化されていくと思われ成長が期待されます。同じ特化型でも、ブランドが確立している店はZOZOTOWNに出店し、将来自分で店を持つ人はまずはSTORES.jpに出店するといったイメージです。
 ヤフーショッピングは特化型での勝負を挑むというよりは、総合型にポジションすることになるでしょう。

カギ握るスマホ化への対応
 これらのECの将来性を占うのに最も重要なポイントは、スマホ化への対応です。つまり、小売りのEC化はまだ十分に進んでいなくても、世の中のスマホ化はどんどん進んでいるため、各社のスマホ市場対応の成否が競争を勝ち抜くためのポイントになるはずです。
 スマホ市場を取るために、ヤフオク!が最も得意としていた、企業ではなく個人が出店するという「個人間取引エリア」のビジネスに、各社がどうかかわるかが注目されるわけです。
 従って、今回のヤフーショッピング無料化は、楽天、アマゾンの対抗策という側面よりも、どのように個人の売り手を取り込むかに主眼があると見た方がいいと思います。大規模な売り手は収支が問題なのであって、売れる場所ならば、月間手数料がかかろうが、出品料がかかろうが構わないのです。つまり、大量に怪しいお店がたくさんあるよりも、売れる店舗が数多くあるプラットフォームがいいのです。また、個人店がたくさん入ってくると、優良店が埋没する可能性があります。
 LINEモールは、スマホ時代には要注目の存在となるでしょう。LINE MALL(LINEモール)も最初は有料で始めましたが、個人の出店を促すことをおそらく刺激するために、すぐに無料にシフトしました。LINEモールは、出店料や出品料とは別の収入源を得るようなモデルにシフトしていくと思われます。可能性としては導線を売る、つまり、広告を売るモデルになる可能性があるかもしれません。
 ヤフーショッピングも最終的に広告を売ることになるでしょう。出店数が増えれば増えるほど、店は埋没するため、広告を出さないことにはなかなか客がアクセスしてくれない。あるいは、ブログなどにアフィリエイト広告を掲載してもらうような流れになると考えられます。
 出店数が増えるほど広告のニーズも増え、それで収入源を得られます。ヤフーショッピングは無料にした結果、広告モデルになっていくはずです。ヤフオク!は店舗向け出店料を無料にすると同時に、個人の出品者のシステム利用料を無料にしましたが、落札手数料をなくす計画はないと考えられ、きちんと収益は確保できる計算だと考えられます。

グーグルのEC参入で新たなモデルが登場
 このほかEC市場で面白いのが、グーグルの動きです。グーグルは今年1月、「Google認定ショップ」を始めるとアナウンスしました。グーグルの審査基準を通った店には認定マークが掲載され、グーグルが認定した店であることが一目瞭然になります。これは楽天のようなモールではなく、個人店がネット上に分散した分散型ECのビジネスモデルとなります。
図3「Google認定ショップ」の画面図3「Google認定ショップ」の画面
 グーグルで商品を検索すると、その検索結果にGoogle認定ショップであることがわかる仕組みとなると思われます。認定マークを付与してもらう代わりに、店舗はマークの掲載料を支払らわなければならないですが、グーグルの検索と連携することで、大きな集客力が期待できるわけです。顧客にとっても、トラブルや商品の損害などが生じた場合は、グーグルが補償金を顧客に支払うため安心です。
 楽天の場合はモールに出店する際に厳しい審査があり、決済システムも楽天が代行しているため、顧客は楽天との信頼関係において商品を購入する。この対極が分散型のグーグルのサービスというわけです。

楽天型ECモデルの限界と可能性
 実は今回ヤフーショッピングで行われる新しい試みとして、出店無料のほかに、「外部リンクの自由化」があります。つまり、ヤフーショッピングの中で販売してもいいし、そこから外部リンクを張って自社のサイトに誘導してもいいのです。そういう意味では楽天型とグーグル型の中間にあるビジネスモデルへの移行が、今回のヤフーショッピングの改革であるとも言えるでしょう。
 では今後はどのビジネスモデルが発展していくのでしょうか。現在のところはネット上のトラブルへの警戒感から、当面は楽天が有利と思います。ただこれは顧客の感覚の問題でもあるので、分散型ECでの取引が増えていくにつれ、徐々に分散型へ移行していく可能性もはらんでいます。
 今後の流れがどうなるかは、実は出店側がどう判断するかにもかかっています。売り上げ規模の大きな店は楽天とヤフーショッピングの両方に出店するケースも増えるはずで、その販売実績によって、傾向も分かってくるはずです。
 どこまで楽天型ECモデルが成長を続けるかについて、今後の大きな分岐点として注目する必要があるでしょう。
◇   ◇   ◇
根来 龍之(ねごろ・たつゆき)
早稲田大学ビジネススクール教授
1952年三重県生まれ。京都大学文学部社会学専攻卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。鉄鋼会社、英ハル大学客員研究員、文教大学などを経て現職。2003年より早稲田大学IT戦略研究所所長、2010年から早稲田大学ビジネススクール・ディレクター(統括責任者)も務める。ITと経営、ビジネスモデルなどを研究テーマとする。
◇主な著書
『事業創造のロジック』(日経BP社) 2014年
『プラットフォームビジネス最前線』(翔泳社) 2013年
『代替品の戦略』(東洋経済新報社) 2005年

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