2013年10月29日火曜日

Facebookユーザーのニューズ接触、その後の行動で日米に隔たり

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20131027/513982/?ST=social


 今回は、先日米国の調査機関であるPew Research Centerが、John S. and James L. Knight Foundationと協力して発表した調査結果に触れてみる。調査結果はFacebookユーザーのニュースに対する接触と、その傾向についてまとめたもので、「The Role of News on Facebook(Facebookにおけるニュースの役割)」というタイトルで紹介している。
 この調査は、米国内5173人(うちFacebookユーザーは3268人)に対して、2013年8月下旬から9月上旬にかけて実施した。サンプル数5173を基に考えると、「米国成人の64%はFacebookのユーザーであり、その約半数(つまり米国成人の約30%)は、Facebookを経て何らかの形でニュースを知る」ことになるらしい。
 ただしFacebookからニュースを知るユーザーの約80%は、そもそもニュースを得ようとしてFacebookにログインしているわけではない。例えば友人の近況を確認するなど別の目的でFacebookを利用する際に、偶然ニュースを目にする傾向にあるようだ。
 特にこの傾向は、18歳から29歳にかけてのいわゆる若年層に比較的多く見られるようで、Facebook経由でニュースを知るユーザーの約30%を占めている。さらにこの年齢層に限らずFacebookユーザーの大半は、ニュースの情報源を気にすることはなく自分の興味あるニュースを得ると回答している。
 こういったユーザーにとってのニュースの情報元は、多くが4大ネットワークを中心としたテレビとなっており、全体の約半数近くを占めている。一方でケーブルテレビなどのニュース専門局、または新聞が情報元となっていると回答したユーザーは、それぞれFacebookユーザー全体の約20%と少ない。これは前回触れたように、ユーザーがテレビ視聴をしながら「セカンド・スクリーン」としてFacebookなどのSNSを利用しているという側面も大きい。
 番組内で関連サイトを積極的に紹介したり、特定のイベントに関するハッシュタグを告知するなどして、テレビ番組自体が積極的にSNSを含むインターネット上での参加を呼びかけるケースや、CMでも自社のFacebookページやTwitterアカウントを積極的に告知しているケースが増えているためだ。加えてメディアやジャーナリストなどの公式アカウントをフォローしているユーザーも多く見られ、これらが主だった情報元として活用されているようだ。


 Facebookユーザーが接するニュースの種別では、70%以上がエンターテインメント系となっており、以下は自分たちのコミュニティのイベント、スポーツと続く。政治関連のニュースの数字は低く55%程度となる。そして全体の傾向として、速報的なニュースに触れる(あるいは求める)ユーザーは全体の3割弱と、むしろ低い数字となっているようだ。
 ニュースに対するFacebookユーザーのアクションに関しても、面白い傾向が見られる。Facebook上でニュースに接触するユーザーのうち、ニュースに関連してユーザー自身のコメントや意見などを述べる割合は、全体の3分の1程度しか見られない。同調査の中でも、こうした行動を取るユーザーは少数派に位置付けられているようだ。
 さらに友人や家族がニュースに対してFacebookに述べたコメントや意見に驚いたと回答したユーザーは、約60%に上っている。筆者もFacebookを見ていて覚えがあるが、米国のユーザー同士ではFacebook上で何らかのニュースに対して誰かがコメントや意見を述べ、そこから会話や議論などが発生し広がっていくケースは非常にまれである。ニュースに関連したコミュニケーションよりも世間話の方が圧倒的に多いし、そもそもニュースよりはむしろゴシップ的なコンテンツの方がよく見受けられる。
 この傾向は、日本のユーザーとは異なるようだ。ニュースをきっかけに会話などが広がる傾向は、米国よりも日本のほうが多く見られる。こういった点を踏まえた上で、自分たちのコミュニケーション戦略でFacebookをどのように活用していくかを、再考した方が良いケースもあるだろう。
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)
アドビシステムズ ソリューションコンサルタント
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、マイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略をリードする。その後広報代理店のリードデジタルストラテジストおよびアパレルブランドにおいて日本・韓国のデジタルマーケティングを統括。2013年4月から現職。

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