2013年10月29日火曜日

テレビの位置付けに再考を迫る「セカンド・スクリーン」

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20131021/512305/


 オリンピックをはじめとした大規模スポーツイベントのほか、「あまちゃん」や「半沢直樹」といった人気ドラマなどで、テレビ視聴とソーシャルメディアの相関性が取り沙汰されることが増加してきた。いわゆる「ソーシャル視聴」と呼ばれるものである。
 この傾向は日本に限った話ではなく、海外でも強まっている。2013年6月に米ニールセンが発表した調査結果によると、米国では約半数のタブレット/スマートフォンのユーザーが、テレビを視聴する際に、これらデバイスを「セカンド・スクリーン」として使っているという。
 毎日ではなく、週に複数回、「セカンド・スクリーン」使ってテレビを視聴しているのは、タブレット/スマートフォンのユーザー全体の約3分の2に上るようだ。
 彼らの多くは、テレビ視聴中にタブレットやスマートフォンを「一般的な情報を調べ」たり「Webサーフィン」したりする目的に使うだけでなく、「SNSの利用」や「(ドラマなどの)あらすじ、俳優やスポーツ選手、あるいはチームに関する情報の検索」やなどに使っていることも多い。しかも「セカンド・スクリーン」を使ってテレビを視聴しているユーザーの5人に1人は、「番組内で宣伝されている製品やサービスを購入する」と回答していた。
 こういった点を見ると、テレビ視聴中のユーザーに対するデジタル上でのコミュニケーション活動というものも、しっかり考えなくてはならなくなっているといえる。
 実際に、「セカンド・スクリーン」でテレビを視聴するユーザーへのコミュニケーションについて試行錯誤を始めている企業は少なくない。例えばあるスポーツブランドが、自社と契約しているプロスポーツ選手が出場する試合の中継で、その選手を応援するメッセージをハッシュタグ付きのツイートで集めるのは、その最たる例だ。こういった取り組みは、(測定されたツイート数などを集計した結果によって)一定の効果を上げていると評価されている。


 ある企業では、自分たちがスポンサーとなっている番組の中で、コンテンツとソーシャルメディア上での取り組みをタイアップさせるている。具体的には視聴者からハッシュタグ付きのツイートを募り、そのツイートの数に応じて、寄付を行うという試みがある。このタイアップも、(寄付金額によってわかるが)やはり一定の成功を収めているようだ。
 特にソーシャルメディアを連携させた取り組みが多く見られるのは、スポーツ番組であるといわれている。視聴者が録画ではなくライブで視聴する番組はスポーツそしてニュースが多いという調査結果もあって、「ライブ」、「セカンド・スクリーン」、「ソーシャル」といった要素を上手くつなげやすいと考えられているようだ。
 Motorola Mobilityが2012年12月に、世界17カ国の約9500人のインターネットユーザーを調査した結果によると、「テレビ番組の視聴中にソーシャルメディア上で、その番組に関する会話を追っている」と回答したユーザーが、16歳から24歳で60%。25歳から34歳で55%に上ったという。65歳以上でも、25%以上となっていた。男女比では、男性よりも女性の方が、そう回答している割合が高いという。
 今では、「ライブ」、「セカンド・スクリーン」そして「ソーシャル」といった要素を絡めた取り組みのため最も有効なプラットフォームとして、ツイッターが評価されている。これらの取り組みをドライブしてきた企業の担当者やCMOクラスの人間たちは、実際にはまだ手探りの状況にあるものの、ツイッターのポテンシャルを高く買っているらしい。
 このような試みが数多く展開され、一定の成功が見られるようになったときに、企業にとってのテレビの位置付けは大きく変わってくるだろう。もう既に、その位置づけを再考する動きは始まっているといっていいかもしれない。
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)
デジタル ストラテジスト
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、マイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略をリードする。その後広報代理店のリードデジタルストラテジストおよびアパレルブランドにおいて日本・韓国のデジタルマーケティングを統括。現在に至る。

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