2013年3月8日金曜日

Facebookに魅力を感じない若者たち--その理由を探る




Facebookに魅力を感じない若者たち--その理由を探る



近頃のティーンエイジャー(13~19歳の若者)がバーチャルな時間をどこで過ごしているのかを知りたければ、彼らがスマートフォンを使っているところを観察すれば良い。彼らの世界は、大人が高度な写真サービスの1つであると誤解している「Instagram」アプリケーションや、どう見てもMark Zuckerberg氏のソーシャルネットワークほどは古風でないほかのアプリを中心に回っている。
 Facebookの最大の課題の1つはそこにある。世界中に10億人以上のユーザーを抱え、売り上げを増やすという暗黙の使命を帯びているFacebookは、あまりにも複雑かつ危険で、そして何よりも、あまりにも多くの保護者が利用しているため、ティーンエイジャーが切望するデジタル世界での自由や解放感を与えるのが難しくなってしまった。
 トゥイーン(8歳~12歳の子ども)とティーンエイジャーにとって、Instagram、そして最近では「Snapchat」(一定時間経過後に削除される写真や動画を送信できるアプリ)は、Facebookと正反対の存在になっている。つまり、シンプルで秘密めいて見え、楽しい。学校の至る所で、子どもたちはこれらのアプリをマリファナであるかのように扱い、否定できない快楽と自分はクールだと感じられる一時的な充足感を求めて、薄暗い場所でそれらのアプリを楽しむ。一方で、ハーバード大学の寮の部屋にルーツを持つFacebookは、Instagramの買収によって最も若いトレンドセッターたちの多くを獲得したにもかかわらず、彼らの好みに遅れずについていくのに苦労している。
 Facebook関係者にそのことを尋ねたとしても、「多くの若者を含む10億人以上の人々がFacebookを利用してつながり、共有を行っていることにわれわれは満足している」という答えが返ってくるだけだろう。
 ティーンエイジャーに関するFacebookの問題を数値で表す明確なデータはない。しかし、ティーンエイジャーを観察したり、保護者やアナリストから話を聞いたりした経験や、同社のいくつかの声明から、われわれはFacebookがこの年齢のグループに訴求できていないことを知っている。
 Facebookはこの数週間で2回、ティーンエイジャーへの訴求の問題についてわれわれに語った。Facebookは年次報告書を提出した際に、年若いユーザーがFacebookの代わりにほかのサービス、特にInstagramを利用するようになっている、と初めて投資家に警告した。
 その後、最高財務責任者(CFO)であるDavid Ebersman氏は先週、Instagram(同氏は「若い世代」の間で人気の高いアプリケーションと説明した)がFacebookの「強力なライバル」になっていることを認めた。この発言は奇妙に思えるが、利益に飢えているFacebookがまだInstagramからわずかの売り上げも得ていないことに気付くと納得できる。
 われわれに分かっているのは、Instagramが既に高い人気を誇るサービスで、急速な成長を続けているということだ。そしてFacebookは自分たちが得た情報に基づいて、あなた方が尋ねているユーザーたち、つまり若い世代の間でInstagramは非常に高い人気があると考えている。それらのユーザーにとって便利な製品を構築すること、そして、彼らが安心して有意義な体験を楽しむことのできる製品を構築することは、Facebookにとって極めて重要である。それがFacebookの優先事項リストの上位にあるのは間違いない。

 figure_1



サービス利用規約と米連邦政府の規定に明記されているように、厳密に言うと、12歳以下の子どもたち(ある米CNET編集者の娘も含まれる)は、Instagramを使うことを認められていない(ただし連邦政府の規定は7月に改定される予定で、子どもたちはもっと簡単にInstagramに登録できるようになる。Facebookはこの改定を求めて、懸命なロビー活動を行ってきた)。とはいえ、Altimeter GroupのプリンシパルアナリストであるBrian Solis氏によると、子どもたちはそれでもInstagramを見つけ出しており、その大きな理由は、子どもたちがFacebookに登録するのを親が認めようとしないことだという。ティーンエイジャーがInstagramに登録するのは、Facebookが「あまりにも偉大な」ソーシャルネットワークになり、自分の祖父母にまでつながってしまうからだ、と同氏は述べた。
あるティーンエイジャーのInstagramアカウント
あるティーンエイジャーのInstagramアカウント
提供:Screenshot by Michelle Meyers/CNET
 何と皮肉なことだろうか。Alanis Morissetteの楽曲の歌詞のようだ。かつては大学生がこっそりと楽しむ、お気に入りの麻薬だったFacebookは、今ではとてもたやすく利用および受容されるようになり、皆が白昼堂々と、そしてもっと悪いことに職場でも利用するようになった。確かに、12歳のスケートボーダーがFacebookから何らかの価値を引き出すこともあるだろう。しかしそれは、われわれがLinkedInを使う場合と同じような、いい子ぶった利用にすぎない。
 「われわれは食べ物や風景の写真を撮る。しかし、ティーンエイジャーはInstagramを使って、自分たちの写っている写真を共有する。共有する写真が多ければ多いほど、反応も大きくなる。居心地のいい場所から積極的に外に出ようとすればするほど、反応する人の数も多くなる」(Solis氏)
 トゥイーンとティーンエイジャーは「Like」やフォロワー、コメントなどの形で、より多くの反応を引き出すという概念に病みつきになっている、と同氏は述べた。彼らはお互いの写真をLikeし合うという戦術を用いる。そして、無数のハッシュタグを使って、自分の写真をより多くのユーザーに見せ、プロフィールでは、フォロワーの数を増やしたいと思っていることを宣伝する。
 ティーンエイジャーの間でInstagramがどれだけ人気があるのかを確かめることは、彼らから話を聞かない限り、非常に困難だ。そして、この現象に関するデータは実際に存在する。ティーンエイジャーのオンライン行動を調査している数少ない企業の1つであるNielsenは、この最も若い人間集団のウェブ利用のみを追跡できる。Nielsenが米CNETに述べたところによると、Instagramは米国の12~17歳の若者の間で最も人気の高い写真ウェブサイトで、2012年12月には130万人のティーンエイジャーが同サイトを訪問したという。同社の集計によれば、同月、インターネットを利用する米国のティーンエイジャーの約10人に1人がブラウザを使ってInstagramを訪れたという。
 ついでに言うとこの証拠は、Instagramがトゥイーンとティーンエイジャーに好まれるソーシャルネットワークであることを非常に明確に示している。筆者の個人的な知り合いの1人は、2人のティーンエイジャーの少年が日常生活の中で同アプリケーションをどのように利用しているのかを直接観察する機会を与えてくれた。筆者は友達の子どもや、友達の友達を通じて見つけたほかの子どもたちからも話を聞いた。
 サンフランシスコのベイエリアに住むBeth Blecherman氏の14歳の息子は、友達全員が自分のソーシャルネットワークとしてInstagramを使っていたので、13歳のときに同アプリケーションをダウンロードした。南カリフォルニアのカテドラルシティ高校に通う16歳の少女であるMarisaさんは、1年以上前からInstagramを利用している。高校の友達の大多数が同アプリケーションを使っている、と話した。そして、サンディエゴに住む友人の12歳の息子は同アプリケーションにあまりにも夢中になっているので、2013年にアカウントが一時停止されたときには涙を流した。
 「ティーンエイジャーは誰よりも先にInstagramをソーシャルネットワークとして認識した。ほかのすべての人は、Instagramをカメラアプリとして扱った」(Solis氏)

とはいえ、Instagramはティーンエイジャーの意識に浸透したのと同じくらい簡単にそこから姿を消す可能性もある。思い出してほしい。Zuckerberg氏が2012年5月、Facebookの新規株式公開(IPO)の数週間前にInstagramを買収したとき、同社は創設後わずか17カ月の企業だった。自分の子どもは風景や建築物の芸術的な写真を共有するためにInstagramに夢中になっているわけではない、ということに保護者は気付き始めている。筆者が話を聞いたすべてのティーンエイジャーには、彼らのInstagramアカウントを注意深く監視する用心深い保護者がいる。

サイバースペースで自分の居場所を探すティーンエイジャーたち

Snapchatのメッセージは7秒で自ら消滅する。
Snapchatのメッセージは7秒で自ら消滅する。
提供:Snapchat
 元青年部担当牧師で、サンディエゴに住むティーンエイジャーの保護者向けに教育的なソーシャルメディアセミナーを開催しているAdam McLane氏が筆者に話してくれたところによると、同氏のセミナーで一番の話題になるのはInstagramで、自分の純真な子どもたちがいじめや不適切な写真の投稿といった非道徳的な活動に参加しているのではないかと不安になって、取り乱す保護者が大勢いるという。
 こうした保護者という要素だけでも、子どもたちがSnapchatや「Pheed」「Tumblr」といったほかのアプリケーションに逃げ出す原因になるかもしれない。これらのアプリケーションもすべてティーンエイジャーから強固な支持を得ているようだ。投資家たちは特に、短時間で消滅するメッセージを毎日6000万件以上送信するSnapchatに賭けている。なぜなら、彼らは次のFacebookに乗り遅れたくないからだ。
 Microsoftのために若者たちのソーシャルメディア利用状況を調べているシニアリサーチャーのDanah Boyd氏は、「ティーンエイジャーは自分の居場所と呼べるサービスを探している。彼らは別のサイトに大挙して押し寄せるのではなく、複数のアプリに分散し、多種多様なツールを使って友達と関わり合っている。新しいツールが毎週登場する。私にとって刺激的なのは、ティーンエイジャーが新しいものを試していることだ」と述べた。
 若者たちのこうした実験的な気質のために、Facebookは一過性のティーンエイジャーの気まぐれに対応するという難しい立場に置かれている。一例を挙げるとFacebookは、Snapchatをモデルにした携帯電話向けアプリケーション「Poke」を急ごしらえでリリースした。このアプリではメッセージを送信すると、数秒後に自動で削除される。しかし同社の最も反動的な動きは、人々を驚かせたInstagramの買収だった。この衝動的な買収の最終的なコストは約7億1500万ドルだった。
 Instagramは1億人以上のアクティブユーザーを獲得するまでになったので、Facebookの衝動的な買収は賢明な動きだったように思える。しかし、Facebookは広告のないアプリケーションというモデルに関心を奪われている、という危険な現実が存在する。そしてFacebookは、InstagramとFacebook自身のアプリケーションを連携させる方法を理解してさえいない。
 Facebookはティーンエイジャーが何を求めているのかを分かっていない。Ebersman氏は、それほど直接的な表現は使わないながらも、同様の趣旨の発言をした。
 「従業員の年齢という観点から見ると、Facebookは非常に若い企業だ。そして私は、特定のユーザー集団が重視するものの動向を把握し、その集団を満足させる製品を提供する方法を理解するために、若い企業であることがFacebookにとって資産であり続けるように願っている」(Ebersman氏)
 この発言からすると、Facebookにとってせめてもの救いがあるとすれは、同社の従業員もまた、Facebookにうんざりしているということになってしまうかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

自己紹介

自分の写真
東京都, Japan
h-imoto@netyear.net 暇なわけではございません。仕事の一環で収集している情報の共有です!