2013年3月5日火曜日

今後の国内ソーシャルメディア解析市場を読み解く




今後の国内ソーシャルメディア解析市場を読み解く


先日、リサーチ会社のITRから「ITR Market View:マーケティング管理市場2013」というレポートが発表された。これは2012年10月~12月にかけて「メール送信」「メール処理」「マーケティング管理」「アクセス解析」「ソーシャルメディア解析」「ECサイト構築管理」といった、各ベンダーに対して行われた調査結果をまとめたレポートである。2010年度から2011年度にかけての、各業界の市場規模実績、および2012年度から2016年度にかけての市場予測などが記されている。

拡大する国内ソーシャルメディア解析市場

 このレポートによると、前述した各市場は、いずれも2011年度から2012年度にかけて拡大を続けている。特にマーケティング管理市場に関しては、その認知度の向上に伴い、2011年度で28.6%の増加、さらに2012年度に関してはより拡大をしていくことが見込まれている。同様に、メール送信市場に関しても、需要の拡大により、同様の傾向をたどっていくようだ。
 その中でも「ソーシャルメディア解析市場」が、最も大きな伸びを見せており、その勢いは2012年度、さらに、それ以降も大幅な拡大を見せていくと予測されているらしい。
 実際、2010年度の同市場は約10.3億円であったのに対し、2011年度で36.9%増の14.1億円、2012年度はさらに20億円に達する見込みである。4年後の2016年度には、さらに2012年度の2倍の40億円に達すると見込まれている。
 この市場の大幅な拡大に至っている背景として、ITRは「TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアのビジネス利用としての有効性・認識が高まりつつある」という点、ならびに「それに伴い参入ベンダーが増加傾向にある」という点を指摘している。さらに「消費者の消費行動に対するソーシャルメディアの影響力が増大している」という点、そして企業における「広告・宣伝費の圧縮要求が企業のニーズを後押し」し、必然的に成果を測定するための解析製品の需要が伸びると見られているようだ。
 一方、2011年度におけるベンダーシェアに関しては、ホットリンク、トライバルメディアハウス、プラスアルファ・コンサルティングの3社で約7割を占める状況となっており、その市場を大きく牽引していると記されている。ただし、この状況も今後は市場の拡大に伴って変わってくるだろう。特に海外のツールの参入が著しくなってくるはずだ。


海外ベンダーからも魅力的な市場に成長

 これまで、ソーシャルメディア解析市場に関しては、海外企業の参入は非常に難しく、その意味では日本国内の企業の独壇場であった。それは、日本語という特殊な言語の性質から特に製品や企業のレピュテーション(評判)などに直結してくる部分についての解析自体が困難である、そもそも海外企業にとって日本語が外国語でありプライオリティが決して高くはなかった、そしてツールによって解析が可能な範囲(ソーシャルメディア)とビジネスの現場で具体的な解析を求められている範囲(ソーシャルメディア)のズレがある--といった理由によるものだ。
 こうした理由から、なかなか海外のベンダーの参入がうまくいっていなかった。これは、グローバル企業において、解析ツールの導入や、その後の運用などを経験した筆者自身も非常に痛感している。実際、2~3年ほど前の海外ベンダーのツールは、日本国内ではとても実用に耐えるものではなかった。
 ところが、昨年あたりから、海外のツールが、日本の現場でも十分に活用できるほどのクオリティを持ち始めている。それは冒頭にも書いたように、日本のソーシャルメディア解析市場そのものが現在急速に拡大しているという点が大きい。日本のソーシャルメディア解析市場がいまや無視できない規模になりつつある状況下で、こういったツールの日本語への対応力が向上しているのである。
 この動きによって、日本国内のソーシャルメディア解析市場において、シェアが変化することが予想される。これから本格的にソーシャルメディア解析ツールを導入してくる外資系の企業が、グローバルで統一されたツールを活用する(つまり、それは海外のツールになることを意味する)ことが十分に考えられるからだ。
 これまでは、こういった外資系企業も、ソーシャルメディア解析ツールに関しては、その日本語への対応力などが障壁となり、日本だけは導入しない、あるいは日本では別途日本国内のツールを活用するといった選択肢が採られることが非常に多かった。だが、この障壁がクリアになることで、大きく状況は変化してくるだろう。
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)
デジタル ストラテジスト
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、マイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略をリードする。その後広報代理店のリードデジタルストラテジストおよびアパレルブランドにおいて日本・韓国のデジタルマーケティングを統括。現在に至る。

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