ドコモ、渋谷などで音波を使ったOtoO実験
TTドコモは2013年2月20日、スマートフォン利用者を対象にしたポイント付与やクーポン配信のトライアルサービスを開始した。今回のサービスに参加する都内177店にスマホ利用者が近づくと、来店するだけでたまる独自のポイントやクーポン、セール情報を提供して、顧客に店舗での購買を促す。
サービス名は「ショッぷらっと」。トライアルは8月末まで実施する。ドコモはネットとリアルの融合を目指し、スマホ利用者を実店舗に誘導するOtoO(オンライン・トゥ・オフライン)分野を積極的に開拓していく。ドコモのスマートコミュニケーションサービス部の斎藤剛オープンサービス企画担当部長は「この分野にはまだ完成されたモデルが存在しない。我々も参入して実績を積み重ねたい」と意気込みを語る。
トライアルには、東急百貨店のほか、カフェ・カンパニーやタワーレコード、ナムコ、プーマジャパン、リンガーハット、ワタミフードサービスなどの一部店舗が参加する。3月末までには300店以上に増やし、その後は1000店規模まで対象を広げていく計画だ。なかでも、大規模な街の再開発が予定されている東京・渋谷で対象店舗を多数集めていく方針である。
東急百貨店の上根弘之常務執行役員は「これまで当社は、既に店内にいて、まだ買い物をしていない顧客にアプローチする手段を持ち合わせていなかった。今回の仕組みでどれくらいの反応があるかを見てみたい」と語る。
なお利用者は、あらかじめ自分のスマホにショッぷらっとのアプリをダウンロードし、性別や生年月日、郵便番号といったプロフィルを登録する必要がある。ドコモの携帯電話利用者でなくとも、サービスを利用できる。
■人には聞こえない音波で、対象顧客を識別
ショッぷらっとの仕組みで特徴的なのは、スマホ利用者の検知に人には聞こえない音波(高周波)を使うことだ(写真)。対象店舗には、たばこの箱の大きさほどの音波発生装置を置き、10m以内という近い距離にいるアプリを立ち上げている顧客に対して、クーポンなどを届ける。「音波を使った来店促進は新しい領域。適用範囲を見極めていきたい」(ドコモの斎藤担当部長)。
トライアルに参加する東急百貨店は、渋谷にある3店の入り口と各フロアに音波発生装置を設置する予定。250万円分のポイント予算を確保して、トライアルを実施するという。東急百貨店が独自に運営しているポイントサービスとは別のものになる。トライアル結果を検証し、若者が多く集まるSHIBUYA 109などへの本格導入を検討していく。
ドコモにとっても「これだけ大々的にキャリアフリーのサービスを提供するのは、当社にとって初めてのことと言っていい。音波発生装置を含め、運用面を検証したい」(斎藤担当部長)という。
トライアル期間中は対象店舗から料金を徴収することはないが、本サービスに移行する場合は、店舗からシステム利用料や来店手数料を取っていく考えである。
ドコモはモバイルを核とした総合サービス企業への転換を推進しており、特にEC(電子商取引)に力を入れている。2月18日にも、dマーケット向けの新サービスとして、「dクリエイターズ」を発表したばかりだ。
(ITpro 川又英紀)
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