2013年10月3日木曜日

ユニクロ社長に「10倍返しだ!」と言われた男  編集委員 田中陽

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK26009_W3A920C1000000/

「倍返しだ!」が一躍流行語となったテレビドラマ「半沢直樹」。最終回の視聴率は42.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)となり、ドラマとして今世紀の過去最高だった「家政婦のミタ」(40.0%)を抜いた。半沢の初回視聴率は19.4%(同)だったから、視聴率も倍以上になった。
関連記事
・9月6日 日経電子版 「ジーユー 出店加速 今期2割増の70店」
・9月24日 日経電子版 「『半沢直樹』最終回視聴率 関東42.2%・関西45.5%」
 ここからはドラマではなく、実際のお話だ。会社に26億円の損失を与えてしまい、トップから「10倍返しだ!」と言われた人物がいる。その名は柚木治(ゆのき・おさむ)氏。現在、ファーストリテイリング傘下のファストファッションチェーン、ジーユーの社長だ。今から10年前に遡る。まだ半沢の「倍返し」もない時代に「10倍返しだ!」と言った人物はファストリ創業者、柳井正氏だった。
今週の筆者
月(国際)藤井彰夫
火(市場)小平龍四郎
水(企業)西條都夫
木(経済)滝田洋一
金(企業)田中陽
 なぜ、柳井氏は「10倍返しだ!」と言ったのか。それは柚木氏がファストリで2002年に立ち上げた新規事業の野菜販売がわずか1年半で26億円の損失を出し、撤退を余儀なくされたからだ。野菜販売の社長だった柚木氏は責任を取るために辞表を柳井氏に出したところ、柳井氏はこう語ったいう。
■「お金を返してください」という引き止め文句
野菜販売撤退を発表する柚木治氏(左)と柳井正氏
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野菜販売撤退を発表する柚木治氏(左)と柳井正氏
 「お金を返してください。お先に失礼はないだろう。この失敗をいかして『10倍返しだ!』」。柳井氏独特の引き留め工作だった。柳井氏はその後もことあるごとにこの話をネタにする。例えばファストリが就職活動を控えた約2000人の大学生を前に都内のホテルで開いたセミナーでの出来事。柳井氏は人事担当として壇上の脇にいた柚木氏を指し、「このひとは26億円も会社に損失を与えた人です。でも、ちゃんとうちの会社で働いています」。柚木氏は苦笑し頭をかいていたが、緊張した面持ちの学生たちの表情がゆるんだ。
 大勢の人前で自分の失敗をばらされてしまっても、意外とケロリとしていた柚木氏とはどんな人物なのか。

1988年に大学を出て伊藤忠商事に入社した柚木氏は半沢と同じ「バブル入社組」だ。早く米国駐在を経験し商社マンとしての滑り出しは順調で、東京に戻ってきてからは企画部門で腕を振るおうと考えていたが、バブルが崩壊。思い描いた仕事ができず、不完全燃焼のまま同社を去る。米系の投資ファンドを経て、ファストリにいた伊藤忠OBに誘われてこの世界に入る。1999年、ユニクロのフリースが大ブームを巻き起こしていた時だ。
蝶ネクタイを締めほほえむ柚木治氏(右)ときゃりーぱみゅぱみゅさん
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蝶ネクタイを締めほほえむ柚木治氏(右)ときゃりーぱみゅぱみゅさん
 では、そんな柚木氏は果たして「10倍返し」を実現したのだろうか。
 柚木氏は2010年に業績がパッとしなかったGOVリテイリング(現ジーユー)の社長に就任。「10倍返し」の道が始まる。都心部での大型店の出店やAKBメンバー(当時)の前田敦子さんをCM起用した「ゆるパン」が大ヒット。2012年8月期に売上高500億円を達成した。その前までジーユーは売上高を公表していなかったが、手応えを感じたのだろう。13年8月期は800億円になった模様で、すでに始まっている14年8月期は1000億円を目指している。急成長だ。
 柳井氏は何を基準に「10倍返しだ!」と言ったのかは不明だが、売上高では「10倍返し」はとっくに達成。ジーユーの営業利益率は10%強とされているから前期は80億円は稼いだことになる。これだと10倍返しには達していない。最近でも両氏が話すと「10倍返し」の話題が出るというから、柳井氏は柚木氏の伸びしろに期待しているのだろう。9月30日には海外本格進出となる上海店(中国)を開店させる。海外進出に18年かかったユニクロに比べ、ジーユーは7年で達成した。
■「1敗」から学んだ
 野菜事業撤退時の記者会見での柚木氏の表情は極めて硬く、隣の柳井氏もぶぜんとしていた。あれから10年。ジーユーを軌道に乗せた柚木氏は蝶(ちょう)ネクタイを締め、CMに起用した、きゃりーぱみゅぱみゅさんと一緒ににこやかにカメラに納まっている。
 ファストリの経営幹部は入れ替わりが激しいと指摘されることがある。柳井氏の成長要求が高すぎて、それに応えられないと会社を去る幹部がいるからだ。「一勝九敗」の著書もある柳井氏。部下は「1敗」でめげてしまうのかもしれないが、そんな中で柚木氏は「1敗」から経営を学び、ジーユーで生かしているのだろう。
 「半沢直樹」は続編がありそう。柚木氏の「10倍返し」の道もまだまだドラマがありそうだ。

トヨタが再び挑む「1000万台」の鬼門

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2703B_X20C13A9000000/


 トヨタ自動車が「世界販売台数1000万台」という前人未到の壁に近づいている。自動車産業の歴史をひもとけば、この壁を越えようとしたメーカーは大台を目前に挫折してきた。今のトヨタは備えができているのか……
■「中興の祖」の密葬
 名古屋市内の住宅街にたたずむ日泰寺。9月18日の正午過ぎ、トヨタの高級車「センチュリー」や「レクサス」が続々と乗り付けた。喪服姿のビジネスマンたちは車から降りると、神妙な面持ちで寺の門をくぐっていった。
 この日泰寺はトヨタ創業者の豊田喜一郎らが眠る豊田家の菩提寺だ。集まったのはトヨタやグループ会社の経営者ら。前日に100歳で死去した最高顧問、豊田英二の密葬への参列者だった。第11代社長の豊田章男も静かに手を合わせていたという。
 「トヨタ中興の祖」と称される英二が社長をつとめたのは1967年からの15年間。日本もトヨタも右肩上がりで成長していく時代だった。今のトヨタは世界160カ国・地域以上で車を売り、2013年度の販売台数は1000万台に達するとみられている。英二の時代とはケタ違いの規模に成長している。
 ところが、5年前のリーマン・ショック後は、巨大化したがゆえの問題があらわになった。経営スピードが鈍くなりがちな巨大組織と高コスト体質に改革のメスを入れざるを得なくなった。そこからトヨタは変わり、強くなったのか。
 章男の試みはすでに始まっている。
 4月中旬、愛知県豊田市のトヨタ本社内。章男のほか、6人の副社長が集まり、議論を戦わせていた。テーマは、英二が会長時代に立ち上げを指揮した日本生まれの高級車レクサスの米国への生産移管だった。
 「国内生産は持つのか。技術部隊の負担が重くなりすぎることが心配だ」
 「いや、今やらないと、チャンスを逃してしまう」
 足元が円安でも将来の為替リスクを考え、現地生産を徹底するのか。それとも、今の生産体制を守るのか。賛否は大きく分かれたが、最後は「現地化やむなし」の結論でまとまった。
■脱・番頭経営に
 その後、トヨタは、米ケンタッキー工場(ケンタッキー州)でレクサスのセダン「ES」を生産すると正式に公表した。章男と副社長による事実上の方針決定のわずか数日後のことだった。


章男と副社長6人によるミーティングは社内で、「戦略副社長会」と呼ばれ、昨年から月2回のペースで開かれている。その出席メンバーも議論の性格も、トヨタの実質的な最高意思決定機関として社内外で知られてきた「副社長会」とは別物だ。
 今までの副社長会には、名誉会長の豊田章一郎らトヨタの重鎮も出席しているが、形式的な議論の場になりがちだった。出席者は発言せずにいても済んでしまう面があったが、戦略副社長会では、沈黙は許されない。
 関係者によると、章男は議論をリードするというよりも、視点を変えた質問役に回ることが多い。そこから垣間見えるのは、トヨタが「集団経営」に大きくカジを切ろうとしていることだ。経営トップとナンバー2の二人三脚による、過去の「番頭経営」とはまるで違う。
戦略副社長会のメンバーである豊田社長と6副社長(右から、須藤、前川、小平、豊田、小沢、加藤、伊原の各氏、7月、名古屋市中村区)
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戦略副社長会のメンバーである豊田社長と6副社長(右から、須藤、前川、小平、豊田、小沢、加藤、伊原の各氏、7月、名古屋市中村区)
 番頭が会社全体を見据え、時に豊田家に意見しながら、時々のトップが判断していく――。トヨタでは、古くは花井正八(元副社長、会長・故人)や石田退三(元社長・同)、最近では木下光男(元副社長・同)といった番頭の存在感が大きかった。それがトヨタの経営の特徴だった。
 トヨタが直面する問題は時には国際政治もからみ、複雑になる一方。章男自身、「すべてを自分の目で見て、判断を下すのは物理的に無理」と認めている。今や「番頭一人」で足りるはずがない。そんな巨大組織、トヨタをいかに動かすか。
■「片道切符」からの復活組
 章男がまず手をつけたのが、意思決定プロセスの見直し、つまり、戦略副社長会の導入だった。トヨタの経営の仕組みそのものを変えようとする章男の意志は、今年4月に敷いた6副社長の新布陣を見れば、さらに鮮明に浮かび上がる。
 6人の副社長の顔ぶれは、先進国担当の小沢哲、新興国の伊原保守、部品部門を見る須藤誠一、技術は加藤光久、販売を担う前川真基、そして総務や渉外の小平信因。このうち、伊原、須藤、加藤、前川の4人はいったん本体を出た経験がある「出戻り組」だ。関係者によると、この4人は「片道切符」の人事のはずだったが、章男が呼び戻した。
 章男の役員人事を巡っては絶えず、「お友達内閣ではないか」という揶揄(やゆ)がつきまとうが、これらの副社長たちは章男と仕事上の接点がほとんどなかった。新副社長陣は多士済々、章男への直言すら恐れていないという。
 東日本大震災のときの伊原は、トヨタ社内で語り草になっている。

 伊原が調達担当専務として復興作業を指揮していたとき、章男から「サプライチェーンの復旧度合いを説明しに部屋に来てほしい」と求められると、「対策室に紙が貼ってあります。逆に、来ていただけると、簡単に説明ができます」と切り返したという。伊原は物流子会社トヨタ輸送から出戻ったばかりだったが、章男を前に引くことはなかった。
 技術の加藤も筋を曲げない強さを秘める。2003年発売の12代目「クラウン」の開発責任者で、試作車開発のトヨタテクノクラフトからの復帰後、部品の共通化プロジェクト「TNGA」を推進。設計から調達まで見直す大改革だが、関係部署を説き伏せ、12年からの実行にこぎつけた。
 須藤はレクサスなどを生産するトヨタ自動車九州の社長を経験。生産現場の責任者と経営者の両方の視点を備えるという。主に国内販売を仕切る前川は東京の販社を束ねるトヨタアドミニスタの社長を経験。今も地域ディーラーとの重要なパイプ役だ。
 ほかの2人も個性派だ。元経産官僚で資源エネルギー庁長官も経験した小平は外部の客観的な視点をトヨタの経営に加える。ただひとりトヨタ1本で上がってきた小沢は人事や財務が長いが、リーマン後の原価低減活動をリードした。
■トヨタ分割の大計
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 「創業家が右といえば、皆が右を向きがちだ。社長にも直言できるメンバーを集め、けん制する意味合いもある」。あるトヨタ幹部は、戦略副社長会について、こう解説するが、意思決定のプロセスやメンバーを変えただけで、巨大企業のトヨタをうまく操縦できるわけではない。
 それに対する章男なりの回答が、今春の「トヨタの分割」。英二と章一郎が1982年に実現したトヨタ自動車工業―自動車販売の工販合併以来という大規模な組織改編だった。
 トヨタの組織は大まかにいえば、4つに分けられた。先進国を見る「第1トヨタ」、新興国の「第2トヨタ」、エンジンなど基幹部品の開発生産を担う「ユニットセンター」、そして「レクサス」だ。レクサス以外のユニットのトップは副社長が就き、収益の責任を負う。
 「それぞれの持ち場で、社長として仕事をしてもらいたい」
 章男は小沢や伊原らに、こんな指示を出している。副社長たちに対し、最高経営責任者(CEO)である章男のサポート役というより、現場トップの最高執行責任者(COO)としての自覚を持つよう強く促しているのだ。それは、意思決定や経営のスピードを上げることだけが目的ではない。もう一つの意図は、章男の就任前の急失速で見えた「トヨタ流経営」の手直しにある。

例えば、その神髄である「現地現物」。現場を重視する発想は正しいが、それが行き過ぎて「現場の声にすべて従う」という形式にとらわれれば、個別最適に陥ってしまう。
 象徴が2006年に米国テキサス州につくったサンアントニオ工場だった。米国で人気の大型ピックアップトラックの市場を狙うための戦略工場と騒がれたが、リーマン・ショックで事態は一変。大型車の在庫ばかりが積み上がった。
 「今、工場をつくらないとライバルにやられる」
 サンアントニオ工場の建設を決めた当時を知るトヨタ幹部によると、そんな焦りの声が、どんどん米国の現場から届いたという。結果論とはいえ、役員会でも慎重な意見は出なかった。トヨタは、事業規模が大きな米国で、現地にどの程度の権限を移譲すればよいか悩んでいたが、その問題を解決しないまま、投資を決めてしまっていた。
■「現地現物」の死角
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 一方、市場としての注目度が低かったアジアなど新興国では、権限移譲のバランスに悩むどころか、「現地現物」が不十分で、市場環境の変化に対応できていない。シェア3割強と金城湯池だったはずのタイでは、2013年に入り、長く定位置だった乗用車トップの座から陥落。日本でいう軽乗用車に近いサイズの車の人気が高まったが、このサイズの車をトヨタは用意できず、1月~6月はホンダの「ブリオ」に顧客を奪われてしまった。
 インドでは、2010年末に新興国戦略車として投入した「エティオス」が低迷。「価格重視で妥協の産物」(幹部)だったデザインは不興を買っているという。現地のガソリン規制の変更や消費者の嗜好の変化をとらえきれずにいる。
 先進国と新興国。様々な消費者や文化が混在する世界を相手にして、成長と経営効率をどう両立していくか。それがトヨタの最大の経営テーマであり、トヨタ流経営の見直しを急いでいる。
 しかし、1000万台超えはもう目前に迫っている。そして、その「1000万台」という数字は、不思議なことに、自動車メーカーにとっての鬼門になってきた。
 過去には、米ゼネラル・モーターズ(GM)が何度も挑戦したが、実現できていない。日本車の台頭や小型車シフトを軽視した「巨人ゆえのおごり」が致命傷となり、大台に乗る前に経営破綻した。トヨタも07年、1000万台に近づいたが、結局、超えられなかった。それどころか、急成長の裏側で過剰になっていた生産体制や高コスト構造を、リーマン・ショック後の需要減少があぶり出した。

 当時の社長、渡辺捷昭の時代から、トヨタは「全体最適を目指す」とうたっていたものの、「実行の仕組みに乏しかった」(幹部)。ここに来て、章男が経営陣の布陣から組織のあり方まで変えようとしているのは、自分も巨大化するトヨタをコントロールしきれるか焦りがあるからだろう。
 英二は1950年、米フォード・モーターの工場を視察中、その「流れるライン」を見て、品質などを守ることを前提に米国流に生産規模を大きくすることを目指した。しかし、章男時代のトヨタはいったん拡大戦略の足をとめた。
■カローラ工場の変身
 「今後3年間は工場新設を凍結せよ」――。トヨタは今年に入って、成長路線に背を向けたかのような方針を打ち出した。「数字に追われるようにやみくもに工場と車をつくっていった過去」(トヨタ幹部)と決別し、取引先と一緒に生産工程の見直し改革に時間をあてるという。
 大衆車「カローラ」を大量に製造し、モータリゼーションに一役買った高岡工場(豊田市)。高度成長期の1966年にスタートしたカローラの生産に幕を下ろす代わりに、最新鋭の機械が続々と導入されている。需要の変動に合わせてラインの長さを自由に伸び縮みさせられる製造設備で、高岡が「カローラ1車種の大量生産」から「多品種少量生産」の工場に生まれ変わるための投資だ。
 トヨタは、同じ設備をブラジルなど海外工場でも導入している。世界最大の自動車メーカーでありながら、当面は「量を追わない」と決めたのが章男時代のトヨタだ。米リコール問題や東日本大震災からの復興への対処がヤマを越え、トップ就任5年目の今は粛々と足元を固めている。経営改革に精力を傾けられるようになったが、目の前に迫った課題はあまりに大きいからだ。
 ポスト1000万台時代のトヨタづくり――。それは、誰も経験していない。そして、いくら備えを万全にしようと努力しても、未知の難題がどんなかたちで出てくるか分からない。
 史上初である「販売台数1000万台」の称号を手にしたかどうかは、販売実績が固まる来年1月にも判明する。そのとき、トヨタと章男は、新たなスタートラインに立たされる。
=敬称略
(中西豊紀、西岡貴司)



2013年9月27日金曜日

Google検索は15周年、新アルゴリズム「Hummingbird」導入を米メディアが報じる


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130927/507182/?mln


米Googleは現地時間2013年9月26日、検索サービス「Google Search」が15周年を迎えたと発表するとともに、Google Searchの機能強化について明らかにした。「Knowledge Graph」の新ツール追加、iOS向けアプリケーションのアップデートに加え、複数の米メディアが新たな検索アルゴリズム「Hummingbird」(開発コード名)について報じている。
 Knowledge Graphは、ユーザーが探している対象とその関係を理解し、ユーザーが求めている情報と関連データをまとめて提示する機能で、昨年5月より提供している。今回の強化で、情報の絞りこみや関連情報への移行、情報の比較が簡単に行えるようになった。たとえば「印象派画家」を検索すると、多数の印象派画家に関する情報を画像やリンク、テキストを含めて返すとともに、上部に「全ジャンル」「抽象芸術」「バロック派」「現代芸術」といった項目を表示する。また「バターとオリーブオイルを比較して」と音声検索すれば、両方の成分表が並んで表示される。
 米メディアの報道(ForbesTechCrunchNew York Timesなど)によると、この強化の背景にはHummingbirdの導入がある。より多くの人々が複雑な検索をモバイル端末で、さらには音声で行うようになり、新たな対策が必要になったため、約1カ月前にアルゴリズムを変更した。Hummingbirdは、2010年に導入したアルゴリズム「Caffeine」以来の大規模な更新になる。Caffeineは検索速度とSNSとの統合に焦点を当てたが、Hummingbirdは質問内容の把握と質問に対して関連性の高い情報の特定に焦点を当てているという。
 またGoogleは、数週間以内にiOS向けアプリケーションをアップデートし、ユーザーが複数のモバイル端末にわたってリマインダーのプッシュ通知を受け取れるようにする。たとえば、スーパーマーケットでオリーブオイルを購入することをAndroidベースの「Nexus 7」でリマインダー登録しておくと、「iPhone」を携帯しているときにスーパーマーケットに行った場合でも、iPhoneの画面にプッシュ通知が表示される。
 またモバイル検索のルック&フィールを変更し、情報をカード状で表示するデザインを採用した。Googleの説明によれば、従来よりきれいに整頓され、タッチに最適化されている。

2013年9月19日木曜日

「iPhone 5cは新興国向けではない、“型落ち”の5をプレミアムに仕立てた戦略製品」

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130913/504443/?k2


[シンクタンクの視点]情報通信総合研究所 グローバル研究グループ 上席主任研究員 岸田重行氏 

 

 

「アップルはiPhone 5cを新興国向けと言っていましたか? 私はiPhone 5cはものすごく考えられた戦略製品だと思っています」。こう語るのは情報通信総合研究所 グローバル研究グループ 上席主任研究員の岸田重行氏。iPhoneはあくまでもプレミアム機種であり、新興国では統計の数値に出てこないiPhoneの中古品が売れているという。この中古が、新規の需要を奪っていると捉えるのか、そもそも高い新品は売れない市場であると捉えるのかでその出方は変わってくる。アップルは後者であると岸田氏は見る。
 アップルがiPhoneを2機種同じタイミングで出したのは、今回が初めてである。もちろんストレージ容量、対応通信方式や帯域によってこれまでもモデルは複数存在したが、商品としては「iPhone 4S」「iPhone 5」といったように1年に1機種出すのが通例だった。だが、今回アップルは「iPhone 5s」と「iPhone 5c」の2機種を市場に投入した。
 iPhone 5sは64ビットCPUを搭載するなど技術的な新しさもあり、これまで通り先進層にアピールする機種であるのは論を俟たないだろう。一方のiPhone 5cは中身はiPhone 5とほぼ同じで機能的にはいわば“型落ち”。その点で“廉価版”との見方をされるが、実際は“プレミアム”である。iPhone 5sとiPhone 5cの価格差は100米ドル程度。外側を変えることでこれまでのiPhoneユーザーとは違う「新しいユーザーに訴求できる商品にしてしまった」(岸田氏)。なおNTTドコモがiPhoneを扱うことによる国内市場の変化については岸田氏が執筆した「『ドコモのiPhone』で一変する国内スマホ市場」に詳しい。以下岸田氏にアップルの製品戦略についての考えを聞いた。

情報通信総合研究所 グローバル研究グループ 上席主任研究員 岸田重行氏
情報通信総合研究所 グローバル研究グループ 上席主任研究員 岸田重行氏
 今回アップルはiPhone 5sとiPhone 5cの2機種を出しました。そこで注目しているのは、iPhone 5cの“出し方”です。
 iPhone 5cについては「新興国向け」と言われていますが、アップル自身がiPhone 5cを新興国向けと言っていたでしょうか。一言も言っていないと思います。確かにアップルの売上は先進国に偏っていて、商品の単価は高いと言われる。そこで「Androidを搭載する安価なスマートフォンが新興市場で売られていて、そこにアップルは入れていない。そこに参入しないとこれからの成長戦略が描けないんじゃないか」と周囲が勝手に解釈している。
 もちろん一面ではそうしたところはあるでしょう。ただ、アップルがアフリカ向けに100ドルiPhoneを出しました、といってそれが今本当に売れるかは疑問です。そうした新興市場では、既に「iPhone 3G」や「iPhone 4」の中古品が流れていて、現地の方が購入できる値段で売られているわけです。もちろんそれらは以前アップルが携帯電話事業者を介して売った端末です。
 アップルの製品が、中古車のように何代にもわたって広がっていっているわけですよね。その市場のGDPや個人所得が将来的に上がれば、価格の高い新品が売れるかもしれません。アップルは高付加価値、高価格のマーケットで強さを見せています。強いブランド力があって、商品力があって、例えば部品コストは200ドルだけど、600ドル、700ドルと付加価値をつけた価格で売るわけです(編集部注:携帯電話事業者が各種キャンペーンなどによる割引を適用することで、ユーザーから見ると一見安く見える。今回のiPhone 5c、iPhone 5sの“実際の価格”は5万円台から8万円台)。そのビジネスは今の新興国市場には当てはまらない。


iPhone 5cは新たなユーザー層に訴求する

米アップルのiPhone 5c。5色展開する
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 アップルは今回初めて同じタイミングで2機種を出します。これまでは1年間に新製品を1機種出すのがアップルの通例です。これまでの路線で言えば、iPhone 5sがその新機種に該当します。一方のiPhone 5cは外装は違いますがその中身はほぼ「iPhone 5」です。
 アップルはiPhone 5を作り続ければ今までの設備で新しいラインを作らず済むわけですよね。それはそれで商品力があるから売れる。それでもiPhone 5sが出た後では“型落ち”ではあるんです。今回iPhone 5cは中身は“型落ち”ですが、それを新商品に仕立てている。もちろんこうした例は普通にやられていることで、例えば自動車の場合、プラットフォームは同じ、車台は同じで、外側だけ変えるといったことをしてきたわけです。スマートフォンの世界ではあまりやられてきませんでした。
 ただiPhone 5cは“型落ち”であることをまったく見せず、違うマーケットを作るかのようなデザインを取り入れ、新しさを出している。iPhone 5sは部材の調達なども新しい製品なので、量産が軌道に乗らないこともありえますが、iPhone 5cの中身は既にある部材を使った製品です。それを新しい商品に仕立てて、“型落ち”でも違うマーケットに訴えかけてしまった。
  iPhone 5cはカジュアル感があるため、これまでより広いユーザー層に訴えられると思います。中身を変えずに外側を変えて、違うバージョンではなく新商品として出す。アップルという会社は人の感性に訴えかけるのに長けた会社だと思います。
 iPhone 5sは技術的な先進性もあって、先進層に“響く”商品です。そしてiPhone 5cという選択肢が増えた。Androidは各メーカーが製品を出すことで、選択肢を増やしてきましたが、アップルは自ら選択肢を用意しました。今後、選択肢の多さということからAndroid搭載機を選んでいた層をiPhoneが奪うこともあるでしょう。

中古でもApple IDを使ってサービスを利用してもらえる

 新興市場に話を戻すと、そこにはたとえ中古市場ではあっても、アップルが存在する世界が既にあるわけです。その市場に「iPhone 4Sが流れればそれでいいや」くらいにアップルは思っているのではないでしょうか。
 中古市場が新品の“需要を食っている”と捉えるのか、「そもそも高い製品は売れないんだから、今は中古品にまかせる」と考えるのか。中古市場をどう捉えるかは重要です。各種調査会社の販売台数の数字には中古品は入ってこないので見えてこない部分ですが、世界的には中古の市場は大きい。
 iPhoneの下取りに関して日本の携帯電話事業者も始めています。それをアップルが買いとるのかどうかは分かりませんが、自動車の世界では「新車を買う際に下取りもする」のが一般的です。ブックオフが中古の携帯電話やスマートフォンを買い取るといった例もあります(関連記事)。
 新興国の場合、多くのユーザーは携帯電話事業者のデータ通信料金が高いため、無料の無線LANスポットで使うわけです。アップルからすればiPhoneが中古品であっても、そこでApple IDを取得したユーザーが、アップルのサービスを使うような状態になればいいわけです。ネットワークにさえつながっていれば通信事業者も関係ありません。
 新興国市場について言われることは、韓国サムスン電子やLGエレクトロニクスには当てはまるかもしれませんが、ことアップルに関しては当てはまらない議論で、そもそもやっている商売が違うと思います。こうした点から見ても、iPhone 5cが新興国向けではないことは分かりますよね。(談)

auがドコモのiPhone導入の露払い、「いずれどのキャリアも同じ端末を扱う世界に収れんする」

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130913/504445/?k2


[アナリストの視点]野村證券 エクイティ・リサーチ部 デピュティ・ヘッド 日本通信リサーチ マネージング・ディレクター 増野大作氏

 

「ドコモのiPhoneがどうなるか。それはこれまでauがやってきたことを見れば分かりますよね。『auスマートパス』もiPhoneで使えます。音楽再生アプリの『LISMO』もiPhoneで使えます。こうした先例があります」。野村證券 エクイティ・リサーチ部 デピュティ・ヘッド 日本通信リサーチ マネージング・ディレクターの増野大作氏は、KDDI(au)という先行事例を見れば、ドコモのiPhoneがどうなっていくかが分かると指摘する。auのiPhoneは、ドコモのiPhone導入のいわば“露払い”だったとも言える。
 ドコモは同社が展開する各種サービスのマルチキャリア化、マルチプラットフォーム化を進めていた(関連記事:dマーケットはマルチキャリアへ、まずは個別課金系サービスから対応する)。当初からiPhone導入を想定していたかどうかは現時点では不明だが、結果的に同社のiPhone導入においても自社サービスの迅速な展開が可能になったといえる。spモードメールやメッセージR/同Sは10月1日から、dマーケット関連は、dアニメストアとdミュージック(月額コース)が多少遅れるものの、dゲームやdビデオなど大部分のdマーケット関連サービスは10月中には提供を開始する予定である。
 いずれにせよドコモのiPhone導入で、KDDI、ソフトバンクモバイルの大手3社が同じ端末を扱うことになり、これまでMNPにおいて“草刈り場”と化していたドコモも、KDDI、ソフトバンクモバイルとiPhoneの取扱いという点において同じ土俵に立つことになる。野村證券の増野氏にドコモのiPhone導入後の変化について聞いた。

ドコモは様々なサービスも自ら手掛けています。
野村證券 エクイティ・リサーチ部 デピュティ・ヘッド 日本通信リサーチ マネージング・ディレクター 増野大作氏
野村證券 エクイティ・リサーチ部 デピュティ・ヘッド 日本通信リサーチ マネージング・ディレクター 増野大作氏
 iPhoneはAndroidよりも自由度は低いですから、自由度を広げる交渉をしていくほかない、というのがここ1年のKDDI。ドコモの各種サービスがどうなるかはKDDIと同じだと考えればシンプルな話です。KDDIではiPhoneでも「auスマートパス」を入れて、音楽再生アプリの「LISMO」も使えるようにしました。単純にauと同じようになっていくだけだと思います。
ある意味、KDDIがドコモのiPhone導入の露払いになった。
 KDDIは情熱を持ってauスマートパスの導入をアップルに認めてもらって、それ以降も様々なサービスをiPhoneで使えるようにしてきています。交渉ごとなので、熱意がない人には開かれない。すべてはKDDI次第、ドコモ次第だということだと思います。
端末メーカーにはどのような変化があるのでしょうか。
 単純にドコモのiPhoneが売れる分だけ他メーカーの売上が減るとなると、がんばらないメーカーは脱落していく。メーカー数は限られてきますよね。ただ日本は競争条件が他国と違う点もあります。米国では例えばiPhoneが199ドル、Androidのハイエンド機も199ドルと同じ値段で売られている。一方日本はiPhoneが安く売られている。例えば原価が4万5000円のAndroid端末が2万円で売られ、それより原価の高いiPhoneが実質ゼロ円といった売られ方をしている。
 iPhoneは年末までに全世界で270の事業者が扱います。Androidの端末を作るメーカーも、取り扱ってもらえる携帯電話事業者を増やす努力をしなければならないでしょう。実際、日本でも富士通のARROWSシリーズやシャープのAQUOS PHONEシリーズは3事業者から販売されています。
 一方で携帯電話事業者からしても、どこでもiPhoneを売っているんだったら、Android端末も売らないと見栄えが悪い。そうすると、結果的にどこに行っても同じ端末を売っている世界に近づく。例えば米国ではベライゾンに行っても、AT&Tに行っても、同じ端末が並んでいるわけです。自然に日本でもそういった世界に収れんしていくと思います。半年後は分からないですけど、2年もすればそうなるのではないでしょうか。


どこも同じような製品を扱うとスマートフォンもコモディティになる。
 そうは言われますが、まず技術的な面で言うと、今回のiPhone 5sは世界中で誰も64ビットのCPUを搭載するとは思っていなかった。その点ではまだまだコモディティにはなっていない。少なくともあと1年2年はそうでしょう。
 64ビット化の直接的な影響はこれから。まだアプリが少ないので体感できませんが、ユーザーのエクスペリエンスが変わってくることはあるかもしれません。もちろん、ゲームくらいにしか使われないかもしれませんが。
 通信の世界ではiPhoneに限らず、スマートフォンのTD-LTE対応は進むでしょう。下り250Mbpsのサービスの計画もあります。最初はデータ端末からだと思いますが、スマートフォンにも組み込まれていくでしょう。
 TD-LTEに関しては、アップルが発表したモデル以外のiPhoneが中国でTD-LTEの試験認証を取得しています。試験認証は中国移動向けです。中国でTD-LTEの商用ライセンスはまだ下りていませんが、Wall Street Jornalなども報道しています(関連記事)。来年はTD-LTEが盛り上がります。すべてのメーカーがFDDとTDDの両方のLTEに対応する端末を用意してくることになるでしょう。
 スマートフォンの普及率の点では、ドコモは世界的に見てもスマートフォン比率が低い事業者です。2013年6月末時点でスマートフォン比率は契約者の37%でしかない。それが今後例えば6割になるだけで大きな変化があると思います。KDDIも世界的に見れば低いほうです。コモディティ化以前に、日本はまだスマートフォンをどんどん売っていく段階です。
携帯電話事業者間の競争は。
 iPhoneが対応するLTEの周波数から見ると、ドコモのLTEは現状2.1GHz帯が中心で、800MHz帯はほとんどないですよね。1.7GHz帯はまだLTEをやっていない。せっかくそれらの周波数のLTEに対応するiPhoneを導入するのにそこを使わないのはもったいないですよね。ドコモがiPhoneの取扱いをいつ決めたか分かりませんが、800MHz帯と1.7GHz帯のLTE対応が遅れており、そこを急ぐ必要があるでしょう。
 ソフトバンクモバイルは2.1GHz帯でLTEをやっていて、都心部ではイー・アクセスの1.7GHz帯をLTEで使っている。900MHz帯によるLTEは来年春。KDDIは今回同社が使っている800MHz帯にiPhoneが対応しました。KDDIは5MHz幅を3G、10MHz幅をLTEで使っています(関連記事:iPhone 5s/5cの対応バンドに見るアップルの深意、そして携帯3社の競争の行方)。過去も今後もそうですが、半年程度で状況は変化していくのではないでしょうか。

 

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